As time goes by.〜日々の残像、泡の痕〜
巨大な松がある立派な神社。30年は回っていそうな理髪店の回転灯。
そこは昭和30年代で停止したかのような通りが残っている。
特に何の問題も無い土地だろうに何故かその通りは舗装されていない。
大都市のど真ん中にありながら舗装されていない不思議な場所。
ここで40年以上バイクと車に触れている職人と知り合った。
その店には50〜60年代の単車がズラリと並んでいる。

「そろそろ2万キロなんで・・・オーバーホールしたいのですが・・・・」

オイルの匂いをプンプンさせて腰には七つ道具をぶら下げながら、
技術書を読む手を止めておっさんは答えた。
「なぜエンジンを開ける必要があるんだい?ちゃんと走ってるじゃないか。
距離を走ったから心配なのか?」
予想だにしない質問に戸惑った。返答に困っているとおっさんは、
「鉄はどんなに錆びようが擦り切れようが100年は持つものだよ。
走れるならばいいのだよ。エンジンの音を聞けば、
開けなくてはならないかどうかなんてすぐに解るものだよ。」

ならば・・と、僕は問う。
「でも解らなければ定期診断のように開けてみる方がいいのかと。」
「だからオーバーホールするのかい?」
「ええ・・・まぁ・・・・」
「人やバイク屋に言われたから開けなければならないなんて事は無い。
人で言うと胸を切り裂き内蔵を取り出すようなものだろうね。
そして開けて新しい部品を入れて組み立ててちゃんと動いたこと確認して。」

おっさんは僕の返答なんて期待もしてないかのように一気に話し続ける。
「それでそのバイクはちゃんと戻るのかい?乗って楽しめるようになるかい?
君が開けたと言う事で安心したいだけだろう。」

(いや、そうじゃなくて・・・)

「僕にはそれの判断ができないのです。だから不安なんです。
その辺の単車屋では真っ当な解答なんて戻ってこないし・・・」
おっさんは“したり顔”で、
「だから俺のような仕事があるのだろう(笑)・・・」
心から安心した。
ホッとした。
目から鱗が落ちた。

「頼むには新しすぎる単車ですけど、少し音を聞いてもらえますか?」

おっさんは満面の笑みをくれて、
「まあ仕事は一杯で答えれんけど見るよ。
引き受けて1年も未だ仕上がってないのもあるからな(笑)・・・」

明確なそれじゃない。新品にしたからといって求めていたものになる訳じゃない。
触れて撫でて知り、そして音を聞き確認し、愛する。
そして毎日それに悩む。おっさんは40年この仕事をしてきて、
客に恥じない整備ができるようになったのはここ2〜3年とも話す。
そして、「どんなモノでも走るように出来る」と静かに確かな自信の言葉を聴いた。
あのおっさんに触れられる単車は幸福なのだろう。

久々に敬意を感じる人に出会えた瞬間。

コメント
この記事へのコメント
ブログ拝見しました。とても素晴らしいブログですね。
これ、作るのすごい時間かかったんじゃないでしょうか?
内容も充実してますし、ブログ作るのも大変ですからね。
私もブログ作っていますので、ブログ作りの大変差も楽しさも
わかってます。すごく良いブログだったので、思わずコメント
してしまいました。また、じっくりと過去の記事なども読ませていただきます。
後、もし宜しければ相互リンクしていただけないでしょうか?
2008/02/06(水) 23:13 | URL | ナンパ師 #-[ 編集]
私の拙いブログへご訪問、コメントも頂戴しありがとうございます。
相互リンクはプロフィールにも記してあるとおり、お断りさせて頂いております。何卒、ご理解賜りますよう宜しくお願いいたします。
2008/02/07(木) 11:06 | URL | 管理人:紅蓮 #GTh2ANWE[ 編集]
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