As time goes by.〜日々の残像、泡の痕〜
本棚から取り出した一冊の写真集。
といっても官能的なものではない。
とあるバァサマの写真随筆集なのだけど、
ふと思い出しては、読むともなし、見るともなしに眺めている。

もちろん、写真はそのバァサマを写しているのではない。
バァサマが日々生けている花と器をカラーで撮ったもの。

そもそも、このバァサマ、90近くになろうってーのに、
ガンコだわ、
好き嫌いは激しいわ、
口は悪いわ、
自分の目で見たモノしか信じないわ、
って、まあなんというか、煮ても焼いても食えねえバァサマなわけだ。
本人の写真を見ると、
童話によく出てくる西洋の魔女そっくりな風貌で、
杖つきながらニカッと笑ってる。

「行儀作法やうわべだけのつきあいが大嫌い」
と公言するバァサマだから、
生け花といっても、誰に習ったわけでもない自己流のやり方。
ただ、器を見る目や、花を見る目は、
小林秀雄なんかと交流があった頃から、
培ってきて商売したこともあるぐらいだからダテじゃない。
生ける器も平鉢あり、炭あり、とっくりあり、大瓶あり、
と好き勝手に自分のいいように生けている。

東京近郊の住まいのまわりは少しは自然が残っていて、
毎日、その中からも選んで気に入った花を気に入った器に生ける。
チマチマしたことはキライだから、
「私の生け方は勢いだけ」とは本人の弁。

その数年の暮らしの中で、
実際に家にちょっと飾られた数十種以上の「花と器とそのまわり」が、
100頁以上、全部カラーで掲載されている贅沢な写真集。

これがねえ、ホント、涼しいっつーか、いい味なんだ。
ある写真は絵画のように、
ある写真では彫刻のように、
花と器が一体となっている。
器もバァサマが一点一点自分の目で長年選んできたもの。
バァサマの目に適った絵画や掛け軸なんかもさりげなく置かれていて、
いい味を出しているんだな、これが。

なによりいいのは、この花と器を見ていると、
色の繊細さと形と姿のよさに、低気圧を忘れてしまいそうになることだ。

花日記花日記
(1998/03)
藤森 武、白洲 正子 他

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このバァサマの名前は白洲正子
知っている人は知っていると思うけど、
昭和で唯一“ダンディー”と呼ぶに相応しい白洲次郎の妻。
平成10年、88歳で人生に幕を閉じたが、
口が悪く目利きであるバァサマ・・・
こういうガンコでカワイイ(笑)ババァはキュートだ。

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2007/10/31(水) 14:26:32 | あいなのblog